国債(こくさい)は国が財政上の必要から発行する債券で国の運営に必要な資金を集めるために発行される。正式名称は「国庫債券(こっこさいけん)」。
国債は発行時に償還期限と利率が定められており、購入者はこれに応じた利息を受け取ることができる。償還期限を迎えると、元金である国債の発行時の金額(額面額、または額面価格という)が支払われる。
国債は他の債券同様、発行された後でも市場で売買できるため、価格は常に変動している。国債価格とその裏返しとしての国債金利:長期金利は世界情勢や、国債を発行している国の社会動向、経済状態を反映するため、政治的にも非常に重要な要素である。
償還期限によって、超長期国債(15、20、30年)、 長期国債 (6、10年)、中期国債(2、3、4、5年)、短期国債(1年以内)に区分される。
発行元により内債と外債、目的により普通国債、交付国債に分けられる。
さらに発行の根拠法により、財政法に基づき国の道路、港湾、住宅などの公共事業に必要な資金を調達する 建設国債 や、公債特例法に基づき一般会計歳入の不足を補足するために発行されるいわゆる 赤字国債 などに分けられる。
また国債には、利札(利息受取りのための引換証)をつけて発行する 利付国債 と、利子相当分を割り引いて発行する 割引国債 がある。
2003年には個人購入を目的とした個人向け国債が発行され人気を呼んだ。
各国の国債の利回り推移

国債と歴史
国債をめぐる政策は、広義の近代化である大航海時代以来、長く社会問題の軸になってきた。 君主が発行する公債は、君主の私的債務か国家の公的債務かの区別が曖昧で、償還の原資が必ずしも保証されておらず、金繰りに困った君主により恣意的に債権放棄させられる危険性ばかりでなく、次代の君主が先代の債務を引き継がないなどの原因でしばしばデフォルト(債務履行不能)に陥った。
そのため、公債は償還期限が短期でリスクを反映して利率が高く、それゆえ君主が返済に困ってデフォルトを繰り返すという悪循環を繰り返していた。絶対王政の時代には欧州の君主はしばしば戦争を行い、それらの戦費はこうした公債で賄われることがしばしばであった。
償還期限が長期で利率の低い(すなわちリスクが低い)国債が安定して発行されるのは、恒久的な議会が国家の歳出と歳入・課税に関する権利を国王から奪取し、君主の私的財政と国家の財政(国庫)を分離する時代まで待たなければならなかった。
オランダではホラント州の議会がそのような先鞭を付け、オランダ国王はホラント州議会の保証を裏付けとして公債を発行することができた。イギリスはオレンジ公ウィリアムの時代にオランダの制度を導入して、国債の発行時に返済の裏付けとなる恒久的な税を創設することなどが行われるようになった。名誉革命と権利章典により、議会が国庫と課税を管理し、君主は議会の同意なしに課税も国庫からの支出も行えなくなった。
イギリス議会はコンソル債とよばれる単一の国債に既に発行済みの複数の公債を一元化し、金利の安定化と流動性の確保に務めた。それにより、コンソル債は欧州でもっともリスクの低い債券として信用され、各国の国債のベンチマークとなった。この過程でイングランド銀行は国家の歳出・歳入口座をもつ唯一の銀行、すなわち中央銀行としての地位を確立した。 欧州では18世紀までの度重なる戦争で、諸国政府は莫大な国債発行残高を抱えていた。イギリスは19世紀初頭には国民所得の数倍に達するほどの発行残を抱えていたが、産業革命による活発な民間投資と経済成長、夜警国家政策により国民所得に対する比率を低下させた。
1990年代始めごろ、米国政府は史上最悪の財政赤字を抱えていたが、1998年には財政黒字に転換した(その後、2002年に再び赤字になっている。)。背景には、クリントン政権の財政再建政策とITを軸とした活発な民間投資がある。
21世紀に入って、資源価格高騰などで活況を呈するオーストラリアは、とうとう累積国債の完済を実現できる段階にまで達した。完済により、長期金利の基準がなくなることが憂慮されるほどである。

第二次世界大戦 中に発行された日本の戦時国債(戦争国債)。戦後の インフレ により、ほぼ無価値となった。
日本の国債
国債(略称:JGB=JAPANESE GOVERNMENT BONDS)は政府が発行する債券である。日本では、1965年(昭和40年)に赤字国債発行が開始された。現在の発行残高は2006年(平成18年)3月末現在に於いて670兆5794億円である。
(参考:同日付に於いて政府の借入金が59兆2737億円、政府短期証券が97兆6274億円あり、これに国債の670兆5794億円を加えた827兆4805億円が国の借金である。政府の金融資産は社会保障基金、内外投融資、外貨準備などがあり、政府純債務は400兆円未満である。他に確定していないものの、政府保証債務が存在し、これが更に加わる可能性がある。ただし、日本には世界最大の債務に匹敵するほどの債権も存在している。多額の債務の存在が財政上の大きな問題となっていることは確かだが、いたずらに債務のみを強調するのは誤りである。)
日本は他の先進国に比較して、国内総生産(GDP)に対する国債の発行残高の割合が著しく高く、その持続可能性が議論になっているが、政府債務から政府の金融資産を差し引いたGDP比の純債務で見れば他の先進国と比べてそれほど高いわけではなく、9割以上は国内から借りており、半分以上が日本銀行・財政融資資金・社会保障基金・郵便貯金・簡易保険などの公的部門に保有されている。 増税、高インフレ、債務不履行などの経済的危機が懸念されるが、歴史的に見ても問題になる水準ではないとする見方もある。また、GDPに対する割合を云々することそのものに何の意味があるのかを問う声もある。
日本の場合、1980年代後半のバブル経済の頃は好況により税金が多く入っていたため、政府の収入である歳入は潤っていた。そのため、国債の発行額もそれほど多くはなかった。しかし、バブル経済が崩壊して税収が減少すると、それにともなって歳入が減少。併せて幾たびも景気浮揚を目的にした財政出動が行われ、同時期に高齢化が進行し社会保障費が増加した結果、国債を大量発行するようになり、発行残高は急激に増加していった。国債の大半は固定金利であるため、デフレにより名目成長率が伸び悩むことでGDP比の債務が増大しやすくなっている。
デフレ不況の長期化により歳入の伸びは低迷し、公共事業を削減したにもかかわらず社会保障費等の支出増大も重なったことから継続償還資金が不足した。このため、政府は償還を目的に追加で国債を発行するようになった。この国債を借換国債という。この場合、事実上償還されていないことになり政府の借金である国債はさらに増えてしまう。バブル経済崩壊後、日本は新規国債(新しく発行される国債)、借換国債ともに発行額が増加して、問題となっている。
そのため、利息元金の返済(償還)に対する懸念はことあるごとにクローズアップされ、にわかに財政再建推進が盛り上がる局面があった。しかし財政再建などに由来する危機的な景況悪化に際して中途半端な財政出動と日銀による引き締め政策、加えて政府は需要不足であるデフレ不況であるにも関わらず供給側の効率性を向上させる「構造改革」を推し進める傾向があるために、政策の方向性は定まらず、日本経済の実力を大きく損なっている。
1998年に小渕恵三内閣が発行した国債40兆円の多くが、2008年に償還期限を迎えるため、それにより国債危機が発生するのではないかと言われていたが、実際にはすでに各種の借換対策が進行しており、2008年における償還集中は回避されることになっているため誤りである。このため、デュレーションに由来する問題は発生しない。尚、2006年現在、日本政府の税収入は約50兆円である。
現在、日本国債の格付けは、他の先進国諸国と比べると極めて低いが、どの格付け会社も「返済能力が高い」という見解は崩していない。景気は、中央と地方の格差が大きく、全体的には回復の足音は鈍いものの、税収は回復してきており、歳出の削減も行われ始めた事から国債の新規発行は漸減しているが、財政状況は依然厳しく累積債務の増加は続いている。尚、日本国債は国内からの需要が非常に高く、金利は1%後半から2%程と、他国と比べて非常に低い水準で推移している。2006年度のGDP比の累積債務は、バブル崩壊以来初めて減少している。
|